別れのトキ

 

 

実は最近、
とっても辛い別れがあった。

18年と4ヶ月。

こんなにも長い年月を
共に過ごすなんて最初は思ってもいなかったけれど

 

楽しい時も
辛くて涙する時も

ウキウキするような時間も
じっと考え事をする時間も

嬉しくて叫ぶ時も
怒りまくって叫ぶ時も

 

どんなシーンも一緒にいてくれた。

誰よりも
素の私を知っているのが彼だった。

 

彼の名はALTEZZA。
私の愛車、アル君。

 

感情を人前で出すことを良しとしていなかった頃

私の喜怒哀楽を素直に出せたのは
間違いなくアル君の中にいる時で

何かあると
ドライブに出かけたものだった。

 

運転していると

無心になる。
素直になる。
自分との対話ができる。
アイディアが湧く。

 

私にとっては最高の空間だったし
車という”物”ではなく、最高の相棒だった。

 

朝、車に乗り込む時に
「おはよう、アル君。今日も1日よろしくね。」

降りる時には
「今日もありがとうね。」

そんな風に挨拶をして。

 

10年も乗ると
次の車に買い換えようか、なんて考え出すと思うのだろうけど。

でも、私にはまったくその気がなかった。

 

出来る限り一緒にいたかったし
他の車に目移りすることもなかった。

飽きっぽい私だけど
この車だけはいつでも私を魅了してやまなかった。

 

点検や修理で代車に乗ることもあったけれど
全然テンションがあがらない。

早く帰ってこないかなぁと
寂しく駐車場を見るのだった。

 

戻ってきたら
そりゃー嬉しくて嬉しくて
すぐにドライブに行った。

 

洗車してピカピカになるとなんだか誇らしげで
私まで嬉しくなる。

いつしか
この車が命尽きるまで
私が乗りきろうって思うようになった。

 

 

一昨年の10月
いつもメンテナンスでお世話になっている
新井自動車の新井さんから

 

「今まで頑張ってきましたが
次の車検は通らないのでそろそろ次の車を考えておいてくださいね。」と言われた。

 

そっか。
あと2年か・・・。

 

頭では理解していたけれど
やっぱり次の車のことなんて考えなかった。

永遠に乗り続けられると思っていた。

 

今年に入ってようやく現実と向き合い

アル君に変わる車を探さないとな、と
頭の片隅で思い始めてはいたんだ。

でもまだ10ヶ月あるし・・・なんてのんびり構えていた。

お別れすることを想像すると、自然と涙が出ちゃうから
考えたくなかった、というのが本音だ。

 

いずれにしても
アル君は最後まで私一人が全うする。
そう、ココロに誓っていた。

 

 

1月18日。
突然、それは起こった。

追突事故に遭う。

 

トラックに追突され、
前の車に突っ込んだ。

 

何が起こったのか
理解するまでに少し。

 

そして
シートに座りながら一番最初に頭に浮かんだのは
アル君のことだった。

 

あぁ、アル君の命が消えていく・・・。

 

まさか
こんなカタチでお別れすることになるなんて。

 

 

事故に遭ってから
1ヶ月あまり。

ようやく、アル君に会いに行った。

あのままお別れするのは忍びない。
せめて最後の姿を見届けようと。

 

そして私が目撃したのは満身創痍の姿だった。

最大限に
身を挺して

彼が私を守ってくれたんだ、と感じた。

また、涙が出た。

 

私にとって最高の相棒だった彼は
最後の最後まで潔く、
そして本当にかっこよかった。

 

運転席に座ると
在りし日の思い出が頭を駆け巡る。

語り尽くせぬほどの思い出があって
それを思い出すと自然と涙が溢れてしまうのだけれど

 

素晴らしい時間を
共に過ごすことができて
今は感謝しかない。

 

アル君、ありがとう。
最高の時間を一緒に過ごせて幸せだった。

 

出逢いは何も人だけではない。

 

その出逢いが
こんなにも人生を豊かにしてくれるとは・・・。

そう思わせてくれたことに感謝します。

 

出逢ってくれて本当にありがとう。